2023年11月

「俺の〇〇」(当院の…)シリーズ第二弾。

TPLOとかMPLとか整形で行くか迷ったのですが…当院のようなしょっぱい町の獣医さんで一番やってるのは腹腔内の手術じゃないでしょうか???

今日は「当院の疼痛管理(犬の上腹部編)」です。

最大の問題点は犬のデルマトームが未完成なところ。なので飯塚先生が昔発表してくれている造影剤とマーカインを傍脊椎腔に投与してCTで液体の広がりと臍下の痛みを評価した報告を元に、当院では(楽にアレンジして)、最後肋骨のあたりから脊椎棘突起を上に触っていって一番へっこんでるところ(だいたいの場合第10胸椎)の両脇で傍脊椎腔ブロックを行っています。

アレンジしたポイントは、1椎間(いや1傍脊椎腔というべきか)の両側しか刺さない点。報告では3椎間両側で計6カ所に刺していたのですが…局麻多すぎないか?と感じたので1椎間にしています。問題はそれでも効いてるのか…

バカの一つ覚えという事で(笑)子宮卵巣切除、脾摘、胆摘、試験開腹など…色々、全部いつも同じ場所を刺して手術してみています。ラパ胆でも同じ場所です。けっこう鎮痛効果(セボフルラン要求量低下、フェンタニル要求量低下)は感じられます。

マーカイン0.2mlとリドカイン0.2mlの混合液を左右に分けて刺してます。神経刺激装置の電極シールは臍の少し下に貼り付けます。けっこう激しく筋収縮してくれるのである程度正確にキメる事が出来るハズだと感じています(失敗もします、下記)。硬膜外ブロックより内臓痛はカバー出来ていません。今やっている傍脊椎腔ブロックでは胆摘の場合、オープンでもラパロでもフェンタニル15μg/kg/hぐらいは必要と感じます。ラパロでもしっかり痛そうです。そして、傍脊椎腔ブロックは左右わけて刺すので面白い事が起こります。ラパ胆の時にまず右の3つのトロッカー使って邪魔な鎌状間膜の頭側を剥がすんですが、その後、最後のトロッカー左に刺した時に痛がって…左側のブロックを失敗している事が発覚したりします(笑)(トロッカーの場所は下写真)重松考察だと、先に右の傍脊椎腔ブロックすると、少し脊柱管にも局麻の液体が入っているのかだいたいの場合、左の神経刺激装置使用時の筋収縮が弱いです…なので左がミスりやすい???肝外側左葉切除で「ト」の字切開予定の時は左から、ぐちゃぐちゃの胆嚢をオープンで取りたい時逆「ト」の字切開予定の時は右から刺すとか、ある程度後から刺した方がミスりやすい事を考慮した方が良いかもしれないと思ってます。思いこみかもしれません(要するに重松が下手なだけ?)。

明らかに下腹の疼痛管理優先した方が良さそうな場合や小さすぎて傍脊椎刺しにくそうな子宮卵巣切除の場合はL7-S間の硬膜外ブロックを採用しています。この薬液量もどのくらいまで入れていいか手探りでしたし、そもそも卵巣の牽引痛に効かせるほど前の方まで薬液が行くのか…解らないでいましたが、いつも我々に「イイコト㊙」を教えてくれる飯塚先生がなんか本でマーカインとリドカイン0.25mlづつ入れていいと書いてたので愛用しています。卵巣牽引痛にばっちり効いてます。先生大好きです。

かわいい大学生カップルの若齢プードルさんの避妊手術の時、両側MPLの時、二回とも見学してくれましたが、なんにも泣かないで覚醒した事に彼らは何も感じていなかったかもしれません。それで良いんです。ちゃんと疼痛管理するのが当たりまえ。もし、二人が小動物臨床に進んだらその時に壁にぶち当たった下さい。施設によって疼痛管理のレベルに雲泥の差がある実態…絶対ちゃんと疼痛管理する獣医になるように陰ながら応援しています。

来月、心臓悪いチワワさんのオープン胆摘(ラパロは気腹の影響で麻酔循環管理少しむずい)も、楽しいお姉さん(お姉さんで異論は無いハズ)が見学してくれます。「わーお腹の中見せてくれるん、オッサン出てくるかな~?」とか言って、診察室の段階から既に笑いとの闘いが始まってます(笑)心臓悪い子には無痛の覚醒がとても重要です。こちらも見てもらってありがたいです。

以上「当院の疼痛管理(犬の上腹部編)」でした。


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