2024年6月

春です。もうすぐ夏です。新しい従業員をみてる身分である私(重松)は、効率よく自らの経験を伝達できない己の語彙や学の無さを悔いる日々を過ごしています。

一番困るのが「麻酔器(人工呼吸器)の使い方」………

ということで俺の〇〇シリーズの歯科の続き(何が「ということで」なのか…)

今回は「当院の歯科処置:後編」後編は犬です。(何が「ということで」なのか…)

参考:下は結局犬でも全部抜歯しなきゃいけない根拠となり得るCT所見。猫はCT撮らなくても全臼歯抜歯(全顎抜歯)しろってエビデンスがあります。犬はそうゆうのは無くて困ってますが経験的に歯を残していたら敗血症を引き起こしそうなのが推測できる子にはCTで全顎抜歯しないといけない事を証明することも可能です。注目すべきは、この子の歯(門歯を除いて)はどれも動揺していなかった点です。動揺歯だけ抜歯して他は歯石除去のみという処置は広く行われていますが、意味の無い処置であるばかりか後述の術中敗血症で(獣医さん側も)危ない目にあう可能性が高いです。ヤメマショー。

本編:なんにも対策しないと犬の重度歯周病の麻酔管理はけっこう乱れる事が多い印象。いろいろな理由で麻酔処置の対象とされていないケースも多く、後手後手になってから麻酔かけてるのも一因か…。(ネコは早く抜けってエビデンスがあるからホント楽)「飼い主様が元気って言ってるし大丈夫だろう」と思っても、だいたい丸腰麻酔管理だとバイタル安定しないです。(けっこうあるあるパターンで歯科処置でバイタル不安定過ぎて処置を辞めたってのけっこう聞きます。術中敗血症と考えられてます。)歯全部抜いたりしてさらに上顎犬歯の抜歯窩(犬はだいたい口腔鼻腔瘻になっちゃってる:ネコはならないからホント楽)もダブルフラップでふさがないといけないし…時間がかかる処置。小型犬の下顎の第一後臼歯の抜歯なんかは下顎折れないようにほぼエレベータラグゼータに頼らない超オープン法(笑)で挑まないといけないドキドキ感も味わえます。超オープンにしてると、ここでは吹き出すくらい血出ちゃう事もありますし、止血剤突っ込んでアナフィラキシーみたいになった事もあります……(汗)止血剤はもれなく牛のタンパク含まれてるか……。

(いろいろあるんです)

麻酔管理の重要な一端を担う点滴は、この7~8年(ここやり始めてから)はシリンジポンプ2台(フェンタニル×リドカインとドパミン×ドブタミン)でなんとかなるなぁと固定されてきています。フェンタニル15μg/kg/hぐらいで十分、多すぎると午後の診療始めれなくなります(汗)リドカイン3~4mg/kg/hぐらいお勧めです。ドパミンだけだとなんか上手く行かないです。ドブタミンの前方拍出力必要???バカなのでよく解ってません。アトロピンは導入数分前に効かせないと途中で効いて変になります。無しだとフェンタニル徐脈おこりがち。フェンタニル徐脈にドパミン×ドブタミンは無効。終盤にはフェンタニル減らそうと思って同時にリドカイン減ってしまってそれまでリドカインによって副交感神経抑制されてたの解除された徐脈も起こりがちです(くどめの言い回し)。初期設定が高容量だと顕著に出る印象。上のリドカインの量だとあんまりおこらない。ブプレノルフィン中心に局麻ってのはあんまりうまく行かないのでずーと諦めてフェンタニルにしてます。「高齢だから抜歯はムリ」ってコロシ文句言ってる先生是非真似して下さい。

麻酔管理の重要な一端を担う呼吸管理は、ヒトのCOPDみたいになってるかもって思って行います。犬はタバコは吸ってないでしょうけど、重度歯周病の犬の肺を舐めてはいけません。

楽なパターン。導入直後プレッシャーサポートで「まあ落ち着け」って落ち着かせてプレッシャーコントロールに変えて、体重当たりの1回換気量稼げてるかんじならそのまま行きます、念のためPEEPは最低2くらいかけます。低圧気味の頻回気味換気を心がけます。この場合覚醒時はプレッシャーサポートに戻してサポート圧を少なくして自発呼吸を煽ります。呼吸数下げるよりサポート圧下げる方が有効に感じてます。覚醒長引く場合は躊躇なくプレッシャーコントロールに戻します。プレッシャーサポートでキレイにカプノグラム出ないでずーと覚醒しない場合、そこに見えてるEtCO2はかなり少なめに出てます。要するに回収漏れ。プレッシャーコントロールに戻すとEtCO2高くなってる事が確認できて、覚醒長い場合にずっとプレッシャーサポートでやってると……怖い事が起こる可能性が理解出来ます。

楽じゃないパターン。なんか肺が広がりにくい印象ならボリュームコントロールに変えます。ボリュームコントロールでは「吸気ポーズ」が設定出来ます。PEEPと組み合わせて、広がりにくい肺胞を一人も見捨てないような気持ちでほど良き設定を探ります。県大会行く時に部員全員分の旅費が学校から出ない場合、レギュラー&ベンチ以外の全員分の旅費をみんなで出し合う精神と同じです。気持ちが一つになります。吸気ポーズ欲張りすぎるとカプノグラムがヘナヘナになります。汚めの肺、心臓の外に圧をかける要素(PEEPと吸気ポーズ)……たぶんこの辺りに点滴にドブタミンもないと上手くいかない理由があるのかもと感じてます。同じく低圧気味の頻回気味換気を心がけます。起こす時はSIMV/PSにします。間欠的ボリュームコントロールの呼吸数を減らして間に自発(プレッシャーサポート)が入るように誘います。ドレーゲルの場合ボリュームコントロールで設定してた上限圧と1回換気量、呼吸数などが自動的に引き継がれていて、この子賢いなと感心します。ファビウスプラス8年酷使したのでもうすぐもっと賢い子来ます(わくわく)。

以上です。やっぱり、麻酔器の管理は上手く伝えられません。公文式で体と脳に叩き込むしかないと思います……。これは「当院の歯科処置:後編」だったはずです……。要するに、TPLOとか橈尺骨折みたいに局麻が完璧に利かせれる麻酔管理はめちゃ楽で、こうゆう麻酔管理のほうが難しいという事です。

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